「父親たちの星条旗」

第2次世界大戦で最も悲劇的な戦いと言われる「硫黄島の戦い」を、日米の視点から映画化する“硫黄島プロジェクト”の第一弾は、アメリカ側の視点から描かれたもので、有名な「摺鉢山に星条旗を掲げる米軍兵 士たちの写真」のエピソードをもとに、激闘に身を置いた兵士たちの心情が描かれている。

見終わって、重く切ない気持ちで一杯になった。戦争映画を見るといつも思うが、今回も、戦争とはなんてむなしく愚かなものかと改めて思った。特に星条旗のエピソードに関わった兵士たちの心と人生が、戦争によって振り回され、もてあそばれる様子は、見ていてとても辛い。エンドロールに、各役柄のモデルとなった実在の兵士たちの写真が出てくるのだが、彼らの一人ひとりが、実際に重い経験を背負って生き、寂しく亡くなっていったことを思うと、その無言の表情がさらに重苦しくのしかかってきた。

それにしても、戦いの様子がとてもリアルなので余計に彼らの心情に没頭できたのだと思う。むやみに残酷なだけでなく、リアルに見せるひとつひとつが全てストーリーに意味を持たせているので、最新の技術が有効に用いられている良い作品だなと思う。また、あまり著名な俳優が出ていないことも良い効果を生んでいると思う。

本編終了後に日本側の視点から描く第二弾「硫黄島からの手紙」の予告編が流れたが、そちらはさらにリアルさを持って描かれているように思えた。第一弾とどんな風にリンクして見せてくれるのか、今から楽しみである。まず第一弾、とても意義のある映画だった。

公開：2006

監督：クリント・イーストウッド

キャスト：ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、

　　　　　アダム・ビーチ、ジェイミー・ベル、バリー・ペッパー、ポール・ウォーカー

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