男の子の色、女の子の色。

友人の出産祝いにベビー服を買いに行った。いつも思うけど、ベビー服ってブルーやピンクが中心。もちろんブルー系が男の子、ピンク系が女の子でしょ? 例外の商品もあるけれど大部分がそう。

「人が色に抱くイメージ」には、確かに“ある共通した感覚”というものがあって、「強さ、力」などをイメージさせる寒色系には男性的、「やさし さ、寛容さ」などをイメージさせる暖色系には女性的な感覚を抱く。例えばトイレのサインだって、男は青、女は赤、というように世間的に決まりきった男女の性別色になっている。一体これは何処からきたんだろう? ある記事を見つけた。

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育児関係の本を読んでいたら、「中世ヨーロッパの特権階級では、跡継ぎの男児には、魔よけの意味で天上の色を着せた」と記されている。それなら女の子にも 青を着せればいいのに、と思うが、“第二の性”である女児には「次善の策として、顔映りのよいピンクを愛好」とある。すると発端は男尊女卑なのか。…(中略)

ルネサンス以来、受胎告知の場面が描かれる際、マリアに赤い服と青のガウンを着せるのが約束事だった。青は天国を象徴する色。また、青い絵の具の原料とな る鉱物が、ヨーロッパから産出されなかったため非常に高価で、描かれた人物の高貴さを表した。そして赤は、慈愛やあがないのシンボル。二つの色は、不可分 だったわけだ。…(中略)

一方、日本では「桃の節句」は女児のお祭り。「桃」は桃色のイメージだ。そして「端午の節句」には、男児に藍色(あいいろ)の服を着せる風習が鎌倉時代に定着した。藍色の別名「褐色(かちいろ)」が、「勝ち」に通じるとの縁起かつぎだったという。

こうした流れの中で、男の子には青、女の子にはピンクという意識が人々に刷り込まれたと推測する。

ベビー服の老舗ファミリア(神戸市中央区)の商品開発担当、森山豊彦さんは「男女の色分けのルーツは米国」と見る。20世紀初頭、ある子供服メーカーが戦 略として空色とピンクの2色を採用したのがきっかけで、世界的な流行となったらしい。「その色分けが今なお続いているようです」。赤・青よりも汚れの目立 つパステルカラーが好まれるのは、洗濯機が普及した現代ならではだ、と城さんは指摘。

ファミリアのベビー服は20色以上ある。しかし、販売数を見ると、空色とピンクだけで全体の5割以上を占める。最近は女の子に空色を買う親も増えたが、男の子にピンクを着せる親は極めてまれ。男性は、赤ちゃんの時から服装の規制が多いのだろうか。(以下略)

(2005年6月26日毎日新聞掲載の記事より)

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なるほど。かなり昔から男女に対するイメージの偏見や先入観“ジェンダーバイアス”があったということなのかな。男女の役割も現代のように多様ではなかったし、当然のことかも。価値観が多様化してきた現代では、性別意識にとらわれない“ジェンダーフリー”という 思想運動もあるが、近頃では、社会における男女の役割について固定的な観念を持つことは、むしろタブーとなっているので、そんな思想も一般的に受け入れられつつあると思う。だから、色についてもそんな風に、もっと自由な感覚になったらいいのに、と思うけれど、男女の「色」の既成概念、ここまで定着していると、私自身も含めてなかなか払拭しにくい気がするな。

アトリエ小びん

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