「硫黄島からの手紙」

第2次世界大戦で最も悲劇的な戦いと言われる「硫黄島の戦い」を、日米の視点から映画化する“硫黄島プロジェクト”の第二弾は、日本側の視点から描かれた作品。5日で落とせると思われていた戦いを一ヶ月半もの持久戦に持ち込み、アメリカ軍を悩ませた、伝説の 陸軍中将“栗林忠道”と彼の部下たちによる死闘が描かれている。

戦争のまさに、その前線の状況が細かく描かれていてわかりやすく、一人一人の人物像とその背景がしっかり描かれている上、存在感のある登場人物の数が多いため、話に広がりがあった。渡辺謙が主演ではあるが、“栗林忠道”の話が中心というだけではなく、彼を中心に動く部下たちの話でもある。戦いながらも、本土に残した愛する家族を思い、寂しさや弱音を呟く彼らの姿が、見ている側の気持ちを、彼らの心情にグッと入り込ませる。

特に全体を通して一番出ているのが嵐の二宮和也で、彼がストーリーの軸を動かしているような形になっている。私が特に心を打たれたのは、この二宮和也と、加瀬亮の演技。とても辛い状況を生きる二人なのだが、戦争がなければまだ夢も希望もある若い命ということもあり、その悲惨さがこちらの心を打つという理由もあるが、その状況を良く表現していたと思う。

話がフクザツで、描くべき状況や人物や、その心情がとてもたくさん盛り込まれていたにも関わらず、無駄も不足もなくとてもウマくまとめられていたと思う。個人的には第一弾と比較すると、こちらの方に軍配を上げたい。とても感動した。

アトリエ小びん

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