2007 浅草三社祭

着物着て気合いを入れて、友だちと三社祭最終日に行ってみた。最高の祭り日和というような、抜けるような青空の快晴。頑張って午前中から行ったけど、お祭りは朝4時から始まっているだけに、すでに大盛り上がりで人の山。お寺の周辺には夜8時の宮入り待ちの人だかりがすごくて、仲見世通りから浅草寺をお参りするまでひと苦労。みんな気合い入ってるな〜と感心する。折角だからおみくじひいたら「吉」ちょっとひと安心。隣の外国人観光客は「凶」を引いていた。遠い国から折角来たのに凶って…。

このあと、知り合いに誘っていただいた芸者さんの「くみ踊り鑑賞の集い」を見に見番へ移動。途中、浅草寺の裏の場外馬券場の前を通ったけど、こちらはお祭りとは無関係という感じで、皆さんレースの予想に真剣だった。

さて、見番やらくみ踊りが何のことか知らないまま行ったので、ちんぷんかんぷんだったけど、あとでその意味を知った。見番とは正式には東京浅草組合と言って、芸者さんたちをお座敷へ配置したりする、要は芸者さんたちのプロダクションのようなところ。今回はこの事務所の2階にある舞台での鑑賞だった。くみ踊りとは、5月の三社祭に限って編成されるチームごとに披露する踊りのことで、毎年三社祭の際、浅草寺境内で踊りを奉納したり、見番で鑑賞会を開いたりするようだ。

ここが見番2階の舞台。舞っているのは「藤見連」のみなさん。まだ若くて初々しくてかわいらしい感じがする。自分が男だったらこういう芸者さんを眺めながらお酒を飲むなんてどんなに気分がいいだろうなと思った。白塗りの和服の女性が踊る舞台を見たのは今回が初めて。こういう類いだと、歌舞伎の女形のものしか見たことが無かったので、最初は違和感があった。同じ色気の表現でも男性のものと女のものとでは、色気の種類が全然違うんだなと思った。女の方がやっぱり色気に生々しさを感じる。自然な色気と言うか。

こちらはベテラン「柳美連」のみなさん。姉さん、という感じ。若い芸者さんたちのものとは全く違う。色気は一日にしてならず、という揺るぎない何かを感じる。芸者さん自身の生き様やら、これまでの恋愛をも想像させる、見た目だけじゃない、ものすごく深い大人の女の色気がある。踊り自体はもう身体にしっかり染み付いている感じで、踊りとその芸者さんが一体となった感じがするのだ。舞を見ながら、一体どんな恋をして来たんだろう…?なんて思ってしまった。

さて、こちらは太鼓持ちのみなさん。浅草に唯一残る4人の貴重な方々。太鼓持ちなんて落語の世界では良く出てくるけど、実際にお目にかかるのは初めて。要は男の芸者さんのようなもので、舞を踊ったり、面白いことを喋ったり、芸を見せたりして客を楽しませる。お笑い芸人さんのような感じ。けどそれをお座敷でやるという贅沢なものですな。なんだか落語の世界から飛び出たような面白い人たちを見られて感動した。外国のお客さんが多かったんだけど、ものすごい大ウケだった。

さて、くみ踊りの鑑賞会が終わって再び浅草寺境内へ戻ると、早くも戻って来た連が仲見世通りを入って来た。怒号を飛ばしながらすごい威勢で通って行く。観光客にもドシドシ体当たりしてくる。必然的にそうなるけど、通路の金網にへばりつくようにしないと、彼らが通れない。写真を撮るのもただ事じゃない。

通りへ出ると、白熱した連がいくつか通っていた。今年から厳しく取り締まられるようになったけど、もう佳境もあってどうでもよくなって神輿の上に人が乗り放題になってる。こっちの方がいつもの三社祭の風景なんだけどなあ。しかし、ふんどし一丁って…勇気あるなあ。

これで今年も夏がやってくるんだな〜。しみじみ。

アトリエ小びん

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