めがね

「かもめ食堂(つばめ食堂なんて間違った覚え方をしてました。ワハハ)」と同じ監督・荻上直子の作品。主演も同じく小林聡美。そしてまたしても絶大な存在感を放っているもたいまさこ。私は「かもめ…」も大好きだけど「めがね」の方が好きかも。単純に映画の舞台が南の島(奄美?)だから、その風景と空気感が、見ていて気持ちいいのもあるし、前作同様食べ物とビールがとっても美味しそうに出てくるんだけど、出てくるごはんや食材が前よりもさらに魅力的だったからかな。

前作は登場人物の中でも小林聡美が中心となって、周りの人たちを引っ張って行く存在だったけれども、今回はその逆。小林聡美だけが違和感を持った存在となり、ストーリーが進むにつれ、この映画のゆったりとした空気に馴染んで行くというもの。

「何かをしに」旅に出て来たつもりだった彼女がやって来た島は何もないのどかなところ。何かするとすれば「たそがれる」だけ、と島の人は言う。彼女にはそれが疑問で退屈で仕方がない。かといって島の人との関わりも煩わしい。しかし、そんなことを思いながら島で一人無力にもがくうち、いつの間にか「たそがれる」ことを覚え、島にはまって行く。

別に日々喧噪に流されることに疑問を抱いてみるとか、のんびりしてみることがいい、とかそんな押し付けがましいメッセージが入っていたりするわけではなく、とにかく時間の流れと風景が心地よい映画だ。絵本のような素敵なお話。とてもリラックスできる。途中から私はお腹がグーグーなってしょうがなかった(笑)DVDほしいな、これ。

それにしてもこの映画は「もたいまさこ」という女優がいなかったら成立していなかったと思う。もたいまさこ、恐るべし。小林聡美が主演のようでいて、もたいまさこが実の主演のような気がする。

アトリエ小びん

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