MY BLUEBERRY NIGHTS

これは、一人の失恋した女の子が旅に出て成長し、自信を取り戻して新たな恋の一歩を踏み出す、という話だが、男女の恋愛の歩み寄り方の、忘れている大事なことを教えてくれるような話でもある。

ノラ・ジョーンズは主役でありながら、旅先で起こる話のつなぎ役であり、物語を客観的に眺める傍観者のような立ち位置。むしろ本来の主役は各エピソードごとに出てくるような感じ。それがジュード・ロウであり、レイチェル・ワイズであり、ナタリー・ポートマン。ベテラン達はさすがの迫力だった。

どうしてノラを起用したかという問いに、監督は自信を持ったストレートな女性だから、と言っているようだけど、確かに演技力というよりも、物語の中を堂々と活き活きと動き回るノラ・ジョーンズという感じがしたかな。だって、ジュード・ロウとあんなロマンチックなキスシーンを!キーッ!役得だ!しかしこのキスシーンはとっても大事な場面です。しみじみとなります。

ドキュメンタリー感漂う、ウォン・カーウァイの作風はこの作品も変わらずで好き。言葉が英語になり、舞台がアメリカである今作は、アジアを舞台にしたこれまでのものとでは生々しさとか、空気の湿り気が違うなあ。なので、ノラの起用といい、色んな意味でウォン・カーウァイの新たな試み、という感じがした。

アトリエ小びん

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