「ラ・ラ・ラ・ヒューマンステップス」

2003年に製作されて、2004年には日本公演を果たしているため、乗り遅れもいいとこなのだが、NHKで深夜放送していたの「エドゥアールのAmelia」(カナダ・フランス)を見て衝撃を受けた。

最初、実験映像かなにかかと思ったのだが、これはダンス、バレエ、カメラのアート作品である。

男性は黒のスーツに中は白いシャツに黒い靴。女性は黒のシースルーのレオタード+黒のボクサーパンツ、トゥシューズ。この男女が1対1、もしくは3対1など様々な組み合わせで踊る。

この踊りがめまぐるしく早く、目で追っている方が酔いそう。果たして人間にこんな動きができるものだろうかと目を疑うくらい。まるで壊れた人形のように、無表情で手足を素早く動かし、ターンを繰り返し、空間を所狭しと動き回る。

その空間は、無垢の木の箱のようになっており、四隅は床と壁の接合面も、壁と壁の接合面もカーブを描いていて、カメラの位置によっては、天地左右がよくわからないホワイトアウトのような感覚を生む。でも、これが空間を無限に見せている。

ダンスのBGMはチェロ、バイオリン、ベース、そして歌。曲を奏でるというよりも不思議な音の羅列で不規則なリズムを作って不思議な空気をより一層引き立てる。そして、このダンスと音楽が、反復しながら永久に繰り返すように続いていく。が、よく見るといつの間にかダンサーが入れ替わっていたりする。

これは、舞台では出来ない演出だと思うが、この映像作品ではカメラワークも重要なものになっている。どう撮っているのか不思議だが、高低の動きで言うと床から木の箱の俯瞰まで、左右の動きで言うとダンサーのアップから壁面まで、効果的に変化をつけて、ダンスをより一層躍動的に見せる。編集の技なのだろうが、引きと寄りの間にダンサーが変わっていたり、ダンサーのいたはずの場所が変わっていたりというギミックもあり、目が離せない。また、ライティングもたくさんのバリエーションがあるため、木の箱の表情もダンサーの表情も全く変わって見えたりする。

ホントにビックリした。しかし、よく汗が出ないな。。。

(この映像は舞台の映像かな。私が見たのとはまた印象が違う。)

アトリエ小びん

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