若者の三味線と書。

前田紅華先生書道展最終日、三味線片手に持った、黒の紋付の着物に金の帯をラフに締めたカッコいい男がフラリとギャラリーに現れた。誰かと思ったら先生の生徒さんのひとり。元モデルさんだということで、背は高いし、存在感がなんだかすごい。まだ22歳というこの彼は、もう間もなく三味線片手にアメリカへ腕試しに旅立つとのこと。先生のお誕生日祝いに、ギャラリーで三味線を弾きはじめた。これまで見たことのない、聞いたことのない三味線だ。力強くて勢いがあるし、このルックスの若者が演奏する図はあまりにもかっこ良くて、何だか凄い可能性を感じてしまった。先生の作品のひとつである屏風と、そこに書かれた書と、彼が妙にマッチしていた。屏風って不思議なものだなあ。仕切りという用途もあるけど、屏風一枚立てただけで、そこがステージになる。もちろんそれ自体が優れた芸術作品だったりもする。しかも伸縮自在。日本の優れたプロダクトのひとつなんだな。

アトリエ小びん

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