「武士の一分」

一足先に、試写会で見てきた。

何度も泣けた。一方、笑えるシーンもちょくちょくあって、娯楽映画としてとてもよく出来ていると思った。藤沢周平の小説は好きでよく読むが、この話は未読。同行した父は既に原作を読んでおり、ほぼ原作通りだと言っていた。

木村拓哉は、3枚目の明るい武士が、ある日視力を失い、それをきっかけに人生が暗転するという、とても難しい役どころだったと思うが、とてもがんばっていて、心情が伝わってきて良かったと思う。ただ、私の単なる偏見か、テレビで見過ぎて親近感があり過ぎるせいか、役名の「三村新之丞」という男ではなく、木村拓哉に見えてしまうような気もした。

しかし、彼を囲むように味のあるベテラン俳優がたくさん出演しており、映画により深みを持たせていた。近頃あちこちで見かける、私の好きな笹野高史は映画を軽やかにあたたかくしてくれたし、桃井かおりが出るシーンは笑えるポイント。その他のベテランも存在感が大きいかった。そしてなにより、一途な妻を演じる檀れいがとてもよかった。映画初出演ということだったが、宝塚出身ということもあるのだろうか、初々しい役柄ながらも演技は貫禄たっぷりだった。

それにしても、試写会には年配の女性が7.5割、2割が年配男性、0.5割が中年以下、という感じのバランスだったが、ま〜年配女性の元気のよいこと。大きな声でよく笑いながら映画を見るので驚いた。コメディ映画じゃないのに会場全体が笑いでいっぱいになったりする。とても良いことだと思う。

アトリエ小びん

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