笑う美術

狩野派なのに、若冲なのに…なんとコミカルで可愛いんだろう。こんなに古い日本美術におもしろいものがあるとは知らなんだ!でもよく考えれば、今も昔も同じ日本人だし人間だ。真面目ばっかりなわけがない。ふざけていたり笑える楽しいものも大好きだったはず。バカらしいものを真剣に描く芸術家たちがこんなにたくさんいたことをとっても嬉しく思った。

一番あきれて笑ったのが「放屁合戦」の長〜い絵巻。裸同然のちょんまげ男たちが、お芋を食べてオナラをかけあったり、風呂敷にためたオナラを敵にぶちまけたり、お尻の穴まで描かれた渾身(?)の力作。若冲や白隠あたりの作品はさすがにもう少し品があるけど、何とも愛嬌があって全然古くないし家に飾りたいくらい。どれを見ても平和な空気が漂っている。昔の人たちに親近感を覚えた絵画展だった。

以上の前半にハマり過ぎて、後半の現代アートのおかしみは駆け足になった。こちらは前半のように平和的な明るい笑いばかりじゃなく、シュールで社会へ向けたメッセージ性の強い、挑戦的な笑いも多かったかな。笑いやおかしみの種類や表現をすごくたくさん見せられて刺激になった。現代アートを見るといつも人間の考え方や感じ方の無限さに驚く。もっとゆっくり見たかったんだけどなあ。

アトリエ小びん

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